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お米から生まれたおいしい日本食の数々。 日本の稲作から生まれた食文化【後編】

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前回の記事では、日本における稲作の歴史をご紹介しています。
以下のように、かつてお米はただの食料品でなく、以下の重要な役割を果たしていました。

  • 貨幣・富」の役割を果たしていた。
  • お米が大量に生産できることは「権力」の象徴を表していた。
  • 時にお米の生産に必要な土地や水を巡って争いが生まれたことも。
  • 江戸時代までお米はとしての役割を持っていた。
  • 明治時代に生まれた「地租改正」により、税としての役目を終えている。

前回の記事はこちらからご覧いただけます。
お米は食料の役割だけじゃなかった!?日本の稲作が担った歴史とは【前編】

今回は現代に時を戻し、日本におけるお米と食文化についてご紹介します。
日本にきたらぜひ食べてほしい、おすすめの食事も特集します。
ぜひ最後までこの記事をご覧いただけると嬉しいです!

日本で栽培されているお米の品種

日本で主に栽培されているお米の品種は「ジャポニカ米」です。
他の品種と比べるとどのような特徴を持っているのか。一緒に見ていきましょう。

ジャポニカ米とは?

炊き上げるとふっくらと柔らかく、粘りが出るのが特徴です。
もちもちとした食感で、噛むほどに甘味が出ます。

米粒はインディカ米と比べるとやや丸く、長さが短い形をしています。
冷めてもおいしく、比較的寒冷地でもよく育つため、和食でよく使われています。

ジャポニカ米の中でも代表的な品種は以下の通りです。

  • コシヒカリ:代表的なジャポニカ米。全国各地で育てられている。
  • あきたこまち:コシヒカリを親に持つ。よりもちもちとした食感が特徴。
  • ササニシキ:比較的粘りが少なくさっぱりとしている。お寿司に使われやすい。

この他にも多くの品種がありますが、これらは成分上後述するもち米と区別するために「うるち米」という名称がつけられています。

その他のお米の種類

  • 古代米:原種に近いお米。
    黒米赤米などの種類があり、ミネラルが豊富。白米と混ぜて食べるのが主流。
  • もち米:粘りが強い品種で、古来では神聖な食物として扱われていた。
    現代では赤飯やおこわ、和菓子などで使われている。

日本でおすすめのお米料理

先ほどお伝えした通り、日本で生まれたお米(ジャポニカ米)はその特性から和食でよく使われています。
炊いた温かいお米とおかずを口いっぱいに頬張ると、食事とお米の旨味が口いっぱいに広がります。
普段は定食としてご飯におかず、汁物(みそ汁)をセットにした和食が多いです。

しかし、せっかくなら日本に来た際は一度だけでもお米の旨味を存分に楽しみたいですよね。
そこで、この章ではお米を炊いてできた「ご飯」を主軸にした料理についてご紹介していきましょう。

① おにぎり (おむすび)

梅、おかか(鰹節に醤油を混ぜ込んだもの)などの具材をご飯でつつみ、海苔で巻いた食事です。
片手で食べられ、お花見などのピクニックやお弁当で食べられる鉄板料理だといえるでしょう。

おにぎりの歴史は非常に古く、今から約2000年前の弥生時代には既に携行食として使われていたようです。
石川県にある「杉谷チャノバタケ遺跡」からは炭化した米の塊が出土したことから、これがおにぎりの原型とされています。
稲作が始まった弥生時代からおにぎりの原型があると考えると、なんだか興味深いですよね。

その後おにぎりは平安時代には宮中で配られる「屯食」(とんじき)として活躍します。

鎌倉〜戦国時代には武士が戦場で持ち歩くための「兵糧」としての役割を果たしました。
武士が食べるおにぎりには、具材に梅干しが入っていたようです。

江戸時代に入ると海苔の普及も相まって、庶民に広まり現在のスタイルが定着しました。

「おにぎり」のバリエーションは幅広い

現代では「おにぎらず」という、海苔の中央にご飯を置いて包み込む新しい手法のおにぎりも生まれました。

おにぎらず。
具材は卵焼き、ウィンナーなどおにぎりに比べるとより幅広くなった。

名称も手で握らないことから、「おにぎらず(=丁寧語の“お”+にぎらない)」と名称がついたようです。

サンドイッチのように食べられる「おにぎらず」は、手を汚さず調理や食事ができることで一躍人気を博しました。

ちなみに「おにぎり」は西日本、「おむすび」は東日本で呼ばれている名称だといわれています。
形も三角形や丸型、俵型など地方や家庭によって多くの種類が使われているのもポイントです。

東日本と西日本の違いについては、こちらの記事で解説しています。
あわせてご覧ください。

② 寿司

言わずと知れた皆大好きな日本食。
「シャリ」と呼ばれる酢を混ぜたお米の上に、お刺身を乗せたメニューです。
私たち日本人でも、「寿司」と聞くと心が踊ります。

ちらし寿司や押し寿司など、様々なバリエーションもあるのも面白いポイントです。

現代では高級なイメージもある寿司ですが、江戸時代後期では「屋台で食べられるファストフード」の立ち位置でした。
ハンバーガーやケバブサンド、飲茶と同じだとイメージしやすいでしょう。

③ 炊き込みご飯

具材や調味料と一緒にお米を炊いた料理です。
お釜で炊き上げた際、底に残った「おこげ」は絶品です。
具材は人参、油揚げ、鶏肉など様々なものが使われています。

炊き込みご飯と似たメニュー

炊き込みご飯と作り方が似ているご飯料理があります。
ここで詳しく紹介していきましょう。

赤飯

もち米とささげと呼ばれる豆を一緒に炊いたもので、ごま塩をふりかけて食べます。
うっすらとお米が赤く色づくのが特徴です。
入学など、お祝いごとがある日に出されました。

近年ではささげの代わりに「小豆」が代用されることが多いです。
ちなみに筆者の祖母いわく、「ささげで作った赤飯は味がしっかりしていて美味しい」と話していました。
時折祖母が赤飯を作ってくれる時は、今でもささげを購入して作ってくれます。

おこわ

もち米を山菜、豚肉、キノコなどの具材と一緒に蒸して作ります。
炊き込みご飯と似ていますが、使うお米の種類と作り方が異なります。

炊き込みご飯おこわ
使うお米の種類うるち米もち米
作り方具材と一緒に
炊く
具材と一緒に
蒸す

④ 卵かけご飯

白米に生卵と醤油をかけた料理です。
一見生卵を料理に使って良いのかと思いますが、そこはご安心を。
日本で生産された生卵は衛生管理がしっかりしているので安全です。

ただし、安全とはいえ生物なので必ず消費期限内の卵を使うようにしましょう。

また、食中毒防止のために乳幼児高齢者妊娠中の方免疫力が落ちている方は生卵を食べるのを控えてください。

卵かけご飯にはいくつか作り方があります。

卵かけご飯の作り方

  • 先混ぜ派:ご飯に入れる前に卵を混ぜておく。
  • 後入れ派:ご飯の上に直接卵を割り入れる。
  • ふわふわ派:卵白をメレンゲ状に泡立てた後、上に卵黄を載せる。

筆者は後入れ派ですが、さらにお醤油に「牡蠣醤油」や「ハモ醤油」など魚のエキスが入ったものを使っています。

魚の旨味が卵かけご飯に加わるため、口に入れた瞬間食欲がそそる旨味がいっぱいに広がります。

⑤ お茶漬け

具材を置いた白米に熱いお茶またはお湯をかけた料理です。
江戸時代に冷やご飯をおいしく食べながら食中毒を防ぐ工夫をして生み出されました。

お茶漬けで使うお茶は煎茶またはほうじ茶を使うのが主流です。
しかし、近年では出汁や冷やしたお茶を使うパターンも出てきました。
具材は梅干し、のり、しゃけなどが使われることが多いです。

ちなみに京都では「ぶぶ漬け」と呼ばれています。
また、「ぶぶ漬けでもどうどす?」という京言葉でもかつて使われていました。
※現在の京都では使われていない京言葉となっております。

京言葉についてはこちらの記事でも解説しています。
ぜひご覧ください。

⑥ ふりかけご飯

ご飯の上にふりかけをかけるのもおすすめです。

ふりかけとは、おかか、しゃけ、卵など様々な味が展開されている調味料です。
由来は大正時代初期に、カルシウム不足を補うために生まれたといわれています。
最初期は小魚を粉末にして、海苔やごまと混ぜて食べていました。

現代は家族皆で使える大袋やお弁当に持ち運べる小袋タイプなど、用途に分けたサイズも多岐に展開されています。

筆者の学生時代とふりかけの活用法

「ふりかけが欲しいけど、ご飯を主食に食べる機会がない」という方でもご安心を。実は筆者が大学生の時、「サラダのドレッシング代わりでふりかけを使った」ことがあるのです。
程よい塩気とサクサクとした食感で、おいしくサラダをいただくことができました。

当時の夕食。たまごとおかか、のり味のふりかけだと思われます。

この話をした家族からは「ふりかけはサラダに使えるの?」と非常に驚かれました。

後にニュースでふりかけ専門店の特集をされた際、海外の方が「野菜のドレッシング代わりにふりかけを使いたい」と話すシーンを見かけました。

その瞬間、この学生時代の思い出が急に頭をよぎったのです。
画面の向こう側で、「ぜひ使って!おいしいから!」と願ったエピソードでした。

このように、ふりかけはご飯以外のお料理にも使えます。
日本に訪れた際は、ぜひお気に入りのふりかけを見つけてくださいね。

⑦ 丼物 (どんぶりもの)

通常のご飯茶碗の3倍ほどの大きさの器にご飯を盛り、具材と汁を盛り付けた料理の総称です。
発祥は江戸時代に焼いたうなぎを載せた「鰻丼」(うなどん)だといわれています。

丼物の種類

代表的な丼物の種類は以下の通りです。

  • 天丼
    えび、おいもなどの天ぷらをご飯にのせた丼物。
    天ぷらはお蕎麦と一緒に食べても美味しい。
  • 牛丼
    牛肉と玉ねぎをたれで煮込んだ具材をご飯の上にのせた丼物。
    現代の日本ではファストフードとして多くの人に親しまれている。
  • 親子丼
    鶏肉と卵を甘辛いたれで煮込んだ具材を使った丼物。
    「親子」という名は鶏肉と卵(鶏卵)の関係から来ている。
  • 海鮮丼
    まぐろやサーモン、いくらなどの海鮮を具材にした丼物。
    使われているお魚の種類は店舗やその時の仕入れによって様々。

ほかほかの温かいご飯はどの味付けのおかずにも合うため、まさに日本のお米のおいしさを楽しめる一品だといえるでしょう。

お米を加工してできるお菓子や飲み物

お米は食事だけでなく、加工してお菓子や飲み物を作ることもできます。
ここでは日本で親しまれているお米でできたお菓子や飲み物をご紹介します。

① 団子 (だんご)

粉にした米を水と一緒に練り上げた日本のお菓子です。
練り上げた後の加熱方法には、茹でる方法と蒸す方法の2種類があります。

味付けも定番のあんこやお醤油を甘辛くした「みたらし」など、多くの味付けが生まれています。
また、「花見」や「月見」など、季節の行事には欠かせないお菓子です。
団子の形は、いくつか丸めたものを竹串に刺した「串団子」が一般的です。

社会現象になった団子

串団子のイメージをモチーフにして、1999年に日本の幼児番組『おかあさんといっしょ』にて「だんご3兄弟」という歌が発表されました。
曲調も「団子」と発音が似ている「タンゴ」と重ねているのも見逃せません。

この歌は社会現象になるほど大ヒットとなりました。
当時串に4つ団子を刺して販売していた店舗が、3つに変更したという逸話もあるほどです。

② 煎餅 (せんべい)

煎餅はうるち米を粉にした生地を平たくして焼いたお菓子です。

現代では様々な種類の味や食感の煎餅が売られていますが、お醤油やお砂糖をまぶした味が伝統的なものとして知られています。

生地の作り方までは先述した団子に似ていますが、その理由は煎餅が生まれたエピソードにも大きく重なります。

煎餅の誕生エピソード

明治時代、「おせんさん」と呼ばれる女性は草加宿(群馬県草加市)でお団子屋さんを営んでいました。
古くなった団子を川へ捨てようとしていたところ、見かけた侍がこれを止めます。

その上で、侍はおせんさんに対して「古くなった団子を平たく潰し、焼いてはどうか」とアイデアを伝えたのでした。

その後平たく潰して焼いた団子は大ヒット。
「おせんさんが焼いた団子」として、「煎餅」の名で親しまれるようになりました。

ちなみに世界中で大ヒットした漫画・アニメ「鬼滅の刃」でも、炭治郎と兄弟が煎餅作りを楽しむシーンが劇中で描かれています。

③ 日本酒

お米と米麹、水で作られた日本伝統のお酒です。

製造は「並行複発酵」と呼ばれる古来から受け継がれた技術で作られます。
糖化」と「発酵」を同時に行うことから、雑菌の発生を抑えながらまろやかな味わいを生み出すことができました。

  • 糖化:お米のデンプンを麹に含まれる酵素で糖に変えること
  • 発酵:糖を酵母の力によってアルコールに変えること

この「並行複発酵」は世界でも珍しい作り方とされています。
なお、日本酒にもいくつか種類がありますが、共通して以下2つの基準を満たすものだけが「日本酒」を名乗れるルールとなっています。

  • 日本産の酒米(後述)を使っていること
  • 日本国内で製造されていること

日本酒で使われるお米の特徴

ちなみに日本酒で使われるお米は「酒米」(さかまい)という独自の種類のものを使っています。

ご飯として炊いて食べることもできますが、食用であるうるち米よりも粘りが少なくあっさりしている食感です。
そのため、リゾットやチャーハンなど食感を硬めにする調理が向いているとされています。
うるち米と同様にもちもちとした食感にしたい場合は、少し多めの水で炊くと良いでしょう。

種はジャポニカ米が主流ですが、うるち米と比べて粒が大きく「心白」(しんぱく)と呼ばれる部分があるのが違いです。

この心白によって日本酒の材料である「」(こうじ)が入りやすくなっているといわれています。

最近注目されている「米粉」

「米粉」はお米を粉にしたもので、かつては団子などのお菓子に使われていました。
しかし、近年では食料自給率や健康志向の高まりから、小麦の代替品としての活用が注目されています。

米粉で作れる料理 (一例)

  • パン
  • お好み焼き
  • 肉団子
    (つなぎとして使用)
  • グラタン、シチュー
    (ホワイトソースの材料として使用)
  • ケーキ

筆者も米粉でできたケーキやパンを食べたことがありますが、お米の優しい甘さでおいしく食べることができました。
特にパンはお米独自のもちもちとした食感が気に入っています。

ちなみに、米粉は使われている米によって呼び名が以下のように変わります。

名前読み特徴
上新粉じょうしんこうるち米で作られた米粉
白玉粉しらたまこもち米で作られた米粉

まとめ:
日本の食に欠かせないお米は、生活でも重要な役割を果たしていた

いかがだったでしょうか。

このように、日本におけるお米は食料以外でも重要な役割を果たしていました。
ご飯と一緒に食べるおかずは和食や洋食、お肉やお魚を問わずどの料理でも相性が良いです。
その懐の深さが、日本で食べるお米の魅力だといえるでしょう。

その上で、最近では日本でもお米以外の主食が採用される傾向です。
筆者の知人でも、「朝ごはんはパン派だ」と話している方もいました。

この状況から、お米が食べられる機会が少なくなることを懸念する声が上がり始めました。
さらに、食料自給率の観点からお米に着目する人々や企業も多く出てきています。

日本の食文化を守るためにも何ができるか。
今回記事を書きながら、筆者も日本の食文化について考える機会となりました。

この記事を通して世界の皆様に日本の米文化や魅力を伝え、興味を持っていただけたらとても嬉しく思います。

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