
いただきますと、ごちそうさま。 実は日本独自の文化だとはご存知ですか?

「いただきます」と「ごちそうさま」。
日本でお料理を食べる際、食事の前後にあいさつを行う文化はご存知でしょうか?
中には手を合わせて伝える人を、見かけたこともあるかもしれません。
実はこの言葉、日本独自の文化だと考えられています。
今回は「いただきます」と「ごちそうさま」に込められた思いと、食事のマナーについて解説します。
「いただきます」と「ごちそうさま」の意味

まず、「いただきます」と「ごちそうさま」に込められている意味を見ていきましょう。
① いただきます

「いただきます」は、漢字では「頂きます」と書きます。
かつて身分の高い人から褒美を受け取る時に、頭の上(頂)に掲げる動作を行っていました。
この動作は現代でも表彰式や卒業式の際にも見られます。
筆者も実際に、学生時代の卒業式で「校長先生から卒業証書をもらう際は頭よりも上に持って」と指導されました。
同時に、神仏へのお供えを下げる際も頭の上に掲げる動作を行います。
これらの動作が転じて、食事のあいさつへと使われるようになりました。
食事以外でも使われることも多い
ちなみに、「いただきます」は食事のあいさつだけではありません。
例えば下の者が上の者から何かをもらった際にも、敬語として使われます。
食事でもらっているものを考えよう

では、私たちが普段食事を通してもらっている物は何でしょうか?
これは純粋に食事だけではないといえるでしょう。
例えば食事に使われた食材。
肉やお魚はもちろん、野菜やお米もかつては「生き物」でした。
つまり、私たちが生きるために、彼らの命をいただくことになるのです。
さらに、食事が作られるまでには多くの人々の手助けがあります。
これは調理した人はもちろん、食材の生産・加工や市場へ届けてくれる人たちが挙げられます。
多くの命や人々の手助けがあってこそ食べられる食事です。
「彼らに感謝を込めた上で受け取る」という思いが、「いただきます」という言葉に込められているといえるでしょう。
② ごちそうさま

「ごちそうさま」は、豪華な食事を表す「ごちそう」に敬語の「様」をつけたものです。
現代と同じ形で使われるようになったのは、江戸時代後半からといわれています。
「ごちそう」の由来
ごちそうは漢字で書くと「ご馳走」です。
さらに分けると、丁寧な単語にするためにつける「ご」と「馳走」という単語になります。
馳走とは、「馬に乗って駆け回る様子」を表す言葉です。
食事と馬に乗る様子は現代では考えにくいですが、これは昔の食材事情を考えるとわかりやすいでしょう。
当時は現代とは異なり、簡単に食材が手に入りにくい時代でした。
そのため、豪華な食事を作るとなると馬であちこちを駆け回って食材を調達する必要がありました。
この意味が転じて、食事のために奔走してくれた人々に対する感謝が込められたといわれています。
似たような意味を持つ言葉は世界中にある?

筆者が中学生の時、海外でホームステイをした時の話です。
食事を食べる際に「いただきます」と「ごちそうさま」にあたる言葉が見当たらず、困惑したことがありました。
やむなく食事の前後には「ありがとう」「とてもおいしいです」と、代わりに感謝の気持ちを伝えたことがあります。
では、世界中の言葉で「いただきます」と「ごちそうさま」という意味を持つ言葉はあるのでしょうか。
調べてみたところ、「似た言葉はあるが意味は日本独自」だということがわかりました。
「いただきます」と似た意味を持つ言葉

「いただきます」は、食事に感謝を捧げる大切な挨拶です。
海外でも、食事に対して感謝を伝える用語があることを確認できました。
海外の言葉の例
世界で食前に使われる挨拶や声掛けは以下の通りです。
- Let’s eat!
(さあ、食べよう!:英語) - Enjoy your meal!
(食事を楽しんで!:英語) - Bon appétit!
(良い食事ができますように:フランス語) - Buon appetito!
(良い食事を:イタリア語) - 잘 먹겠습니다.
(よく食べます/おいしくいただきます:韓国語)
西洋では「良い食事を一緒に楽しむ」という声掛けが多いことが分かりました。
一方で、お隣韓国では「いただきます」と似た挨拶があります。
直訳すると「よく食べます」という意味になるこの言葉が、転じて日本と似た挨拶になるのは興味深いポイントでしょう。
「食前の祈り」をもって感謝の意を伝えることも

特定の文化や宗教によっては、食前に祈りを捧げることで感謝の意を示す事例もあります。
キリスト教の牧師に従事している筆者の親族と食事を取った際は、一緒に食前の祈りを捧げたこともありました。
命をいただくことや食事を食べられることに感謝を伝える姿勢は、万国共通ですね。
「ごちそうさま」と似た意味を持つ言葉

いただきますと比べると、ごちそうさまの意味を持つ言語は世界中には見当たりません。
強いていえば、韓国語の「잘 먹었습니다. (チャル モゴッスムニダ)」という言葉が似た意味や使い方をするようです。
この言葉は直訳すると「よく食べました」という意味になります。
その上で、ご馳走になった場面やレストランを出る際に必ず使われる挨拶だといわれています。
さらに、食事中の離席時や普段の食事でも必ず食後に伝える文化もあるようでした。
礼節を重んじる文化は、私たちと重なるところが多いですね。
お店で食事をした際の伝え方

このように、日本では食事の前後に「いただきます」と「ごちそうさま」の挨拶を行います。
では、日本へ旅行に訪れた際はどのように使えば良いでしょうか。
ここでは「飲食店に訪れた」パターンを想定してみましょう。
食事の挨拶については「日本の文化を体験すること」をイメージした上でご紹介しています。
皆さんの国の文化や宗教に合わせて、無理のない範囲で挑戦していただけますと幸いです。
「いただきます」を伝える場合
食事が運ばれたら、店員さんにお礼を伝えると丁寧な印象を与えます。
その後「いただきます」と伝えて食べ始めましょう。
手を合わせて伝えると、より丁寧な感謝を表すことができます。
「ごちそうさま」を伝える場合
旅行ではチップとして、定価のお代よりも多めに支払う文化があります。
しかし、日本では「チップ」の文化はありません。
むしろ、「定価よりも多くお金をいただいてしまった」と対応に苦慮される恐れもあります。
では、食事やサービスに対してのお礼をする際はどのようにすれば良いでしょうか。
筆者がおすすめするのは、「会計時や退店時にごちそうさまの挨拶を伝えること」です。
過去に筆者も飲食店でアルバイトをしたことがあります。
様々な方と接客する中で、お客様から笑顔で「ごちそうさま」と言われたことがとても嬉しく思いました。
もし「ごちそうさま」の言葉を忘れても大丈夫。
「Thank you.」の挨拶や笑顔でのお辞儀でも、あなたの気持ちは十分伝わります。

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まとめ:
食事に関わる全ての物事や人に感謝するのが日本流

いかがだったでしょうか。
「いただきます」と「ごちそうさま」。
食材だけでなく、食事に関わる全ての物事や人に感謝する言葉が詰まった大切な挨拶・文化です。
その背景には、神道と自然への畏敬の念が古来から根づいていたことが考えられます。
農業や漁業で食材を得るには、自然との共存が欠かせません。
日々の天候に左右されるからこそ、食材が手に入った時は自然への感謝が大切だと捉えられてきました。
さらに、日本の神道では「八百万の神」として万物に神が宿ると信じられています。
食材から命をいただき自らの血肉に変えることは、ただ食べるだけではない畏敬と感謝を伝える必要がありました。
現代は安定して食物が得られる時代になりました。
だからこそ日々の食事を当たり前だと思わず、改めて感謝しながら食べていきたいです。















