
茶道の魅力とお茶室の特徴
近年訪日外国人観光客は増加傾向にあり、日本文化を積極的に体験したいという方の割合も非常に多いといえます。
体験したい代表的な日本文化といえば「食文化」ですが、それ以外にも様々な日本文化が外国の方に興味を持たれています。
「茶道」はまさに興味を引かれる日本文化の1つだといえるでしょう。
茶道は「お茶室」で行われますが、この部屋はただの和室ではなく特別な空間としての意味を持っています。
そこで今回は、「茶道の魅力とお茶室の特徴」について解説していきたいと思います。

茶道の魅力
それではまず、茶道の魅力を挙げていきましょう。
茶道というと当然ながら「抹茶を飲むこと」や「甘い和菓子をいただくこと」が目的となりますが、実はその魅力はお茶や和菓子だけではありません。
どのような魅力があるのか、具体的にいくつか挙げてみましょう。

狭い空間ゆえに他者と親しくなれる
後述しますが、茶室は非常に狭い空間となるため、人と人との距離が必然的に近くなります。
そのため初対面であっても、距離感が近くお茶を通じて短時間で仲良くなれるというのは大きな魅力であるといえるでしょう。
精神的な成長が得られる
茶道は亭主が客に対してお茶を点て振舞う流れとなりますが、その中には敬意や誠実さ、思いやりなど様々な要素が含まれています。
「わびさび」といった言葉を聞いたことがある方も多いはずです。
「わび(侘び)」は思い通りにならない状態を受け入れたり、質素で簡素なものに豊かさを見出したりといったもので、「さび(寂び)」は、不完全さの中の美しさや静かさ、奥ゆかしい風情などの様子、古いものや寂しいものを受け入れる意識のことです。
要するに、もてなす側の亭主と招かれた客がお互いに敬いながらお茶を楽しむ心が重要だということです。
精神性を重んじるその文化は、茶道を経験したことがない日本人はもちろん日本を訪れた外国人の方にも素晴らしい体験として心に残るはずです。

芸術的な魅力が感じられる
茶道は、茶室自体の美しさはもちろん、「日々是好日」や「和敬静寂」、「一期一会」、「且坐喫茶」といった言葉が書かれた掛け軸、焚かれたお香、生けられた綺麗なお花など芸術的な魅力もたくさん詰まっています。
これらを楽しむだけでも「訪れて良かった」と思えるはずです。
基本的にお茶室にはスマホの持ち込みは現金となりますが、許可がいただける場合にはその美しいお花や掛け軸などを撮影してみても良いでしょう。

お茶室の特
それでは次に、お茶室の特徴を挙げてみましょう。
茶道は和室で行うイメージがありますが、実際には茶道専用の「お茶室」で行います。
かの有名な千利休が完成させたといわれている茶室は、日本的感性と芸術性が融合された素晴らしい空間です。
現代では自宅の一室を茶室にする方も増えてきていますが、正式な茶室となるといくつかの条件を満たさなければなりません。
茶室の広さは4畳半
茶室は約3メートル四方の狭い空間となっていいます。
この大きさよりも小さくなると、茶室ではなく「小間」となり、茶室より大きくなると「広間」と称されます。

湯を沸かす炉
茶を点てる際に必要不可欠なのが「炉」です。
実は通常の炉は冬の期間のみで、春~秋の時期には炉を塞ぎ「風炉」という置き型炉を使用します。
60~70㎝四方の躙口(にじりぐち)
実際に茶室に足を踏み入れた方ならば経験したことがあるはずですが、一般的な戸と違い非常に狭くなっています。
そのサイズは60~70㎝程度で、一般的な男性だとかなり入る際に窮屈に感じることでしょう。
この躙口(にじりぐち)と呼ばれる入口は、躙って茶室にはいるため狭く設計されているのです。
なぜ低い姿勢のまま入る設計になっているかですが、これは、「茶室の中では誰もが平等である」という意味を込めているからです。(身分の違いがあっても茶室の中では平等)
そのため、当時刀を差したままでは茶室には入れなかったのです。
入り口が狭いがゆえに、茶室に入った瞬間の「別世界観」がより強まるともいえます。
水屋
水屋は亭主が茶事の道具を置いておく場所(かたづける場所)です。
茶室自体に設置されているわけではなく、隣接して設置されています。
路地
この設備も茶室自体ではなく目の前にあるものです。
分かりやすくいえば庭園をコンパクトにした「庭」となります。
茶室を訪れるためにこの路地を経由することになります。
飛び石や植栽、化粧砂利など非常に風情があるため、眺めるだけでも楽しめます。

まとめ

今回は、「茶道の魅力とお茶室の特徴」について解説してきました。
・狭い空間ゆえに他者と親しくなれる
・精神的な成長が得られる
・芸術的な魅力が感じられる
茶道には上記のような魅力が詰まっています。
そしてお茶室はただの和室ではなく、お茶を点て振舞うためだけに作られた芸術的な場所でもあります。
まだ訪れたことがない方は、ぜひ一度体験してみてはいかがでしょうか?
存分に「古き良き日本」を感じられることでしょう。













