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日本と月の関係性とは?月にまつわる日本文化を教えます

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2025年9月8日 (月) の未明から明け方にかけて、日本全域では3年ぶりとなる皆既月食が確認できました。

さらに、10月6日 (月) には年に一度月が最も美しいと言われる「中秋の名月」が控えています。

「月」といえば、日本では月にまつわる文化が古代から日常生活に根づいているのはご存知でしたか?

今回はその文化について、様々な視点からご紹介しましょう。

日本と月の文化

日本と月は深い関係性があり、昔から信仰の対象として崇拝されてきました。

日本神話では「ツクヨミ」と呼ばれる、月をモチーフにした神様が出てきます。

加えて、和歌や文学のモチーフとして愛着を持たれていたことも有名です。

太陽をモチーフにした和歌よりも、月を題材にした和歌や文学の数が多いのは日本ならではといえます。

近代では「坊ちゃん」「我輩は猫である」の作者である夏目漱石が、英語の「I love you. (あなたを愛しています。)」を「月が綺麗ですね。」と、月を用いて遠回しに例えた逸話もあります。

あえて直接言わず「月の美しさ」で愛を伝えるのは粋な表現ですよね。

日本人が古来から月を愛し、崇拝してきたのは月の満ち欠けを通して四季の移り変わりを感じ、形が変わりゆく姿の神秘が日本人の感性と多く重なる部分が影響しているのでしょう。

ここからは、さらに詳しく月が関わる日本文化を解説します。

太陰暦 (旧暦)

太陰暦」とは、月の満ち欠けを用いた暦です。

新月を毎月1日と定め、次の新月までを1ヶ月と定めていました。

1872 (明治5) 年まで日本で使われた暦であり、現在の「太陽暦」と区別して「旧暦」と呼ばれることもあります。

1ヶ月あたりの日数は29日または30日で、1年の日数は354日と、太陽暦と比べると若干日数が少ないのが特徴です。

季節と暦のずれが起こらないように数年に1度「閏月:うるうづき」を定め、1年が「13ヶ月」となった時もありました。

月の満ち欠けは海の満潮や干潮に関係するため、海のそばで暮らす人々には重要な情報源でした。

さらに、魚の動きや植物の成長も太陰暦と重なる様子を見せることから、漁師や農家はそれを参考に次の計画を立てていました。

日本では四季や自然と共に生きる生活であったことから、太陰暦と月は身近な関係性だったといえるでしょう。

中秋の名月

中秋の名月とは、旧暦(太陰暦)8月15日の「中秋」に見られる美しい満月のことを指します。

現在の太陽暦では8月は真夏ですが、太陰暦では秋として扱われていました。

太陰暦では7月から9月が秋のため、8月15日はちょうど秋の真ん中として、「中秋」の名がつけられています。

中秋の名月では満月をイメージした丸い「月見団子」をお供えして、豊作への祈りや感謝を捧げていました。
さらに、お供えした後の月見団子を食べて、健康と幸福を得ようとしていたようです。

ちなみに、毎月訪れる「十五夜」とは異なり、中秋の名月は年に一度だけです。

現代日本の「中秋の名月」とは?

日本では毎年9月に「月見」と称して、大手飲食店の多くが限定商品を発売しています。

多くの飲食店は月を「目玉焼き」や「白玉団子」に例えているのが特徴です。

1991年からマクドナルドで「月見バーガー」が発売されたことをきっかけに始まった商戦ですが、毎年秋の名物商品として多くの人から人気を博しています。

月とうさぎ

日本では「うさぎが月で餅つきをしている」という伝説があります。

いくつか諸説がありますが、ここでは2つの側面に分けてその理由をお伝えします。

① 月の模様が「うさぎ」のように見える

月の暗い部分はマグマが冷えて固まった「海」と呼ばれるものが、影となって私たちの目に映っているものです。
日本やアジアではこの月の「海」の部分がうさぎに見えると伝えられています。

「海」の見え方は国や地域によっても異なり、ヨーロッパでは「カニ」、アメリカでは「女性の横顔」に見えるようです。

② 古代インドの伝説が日本に伝わってきた

古代インドでは空腹の神様を助けるために自らの命を差し出したうさぎを、月に映したという伝説があります。
これが中国を通して日本に伝わりました。

ちなみに、中国に伝わった際は「杵と臼を使って不老不死の薬をうさぎが作っている」と信じられてきました。
日本に伝説が入った際には不老不死の薬から「餅」に変わりましたが、この理由はいくつか挙げられます。

・空腹の神様を助けようと、食事に困らないように餅つきをしている

・「満月(もちづき)」から、餅つきをしている様子に変わった

・杵と臼は餅つきの道具であり、日本の生活と深く関わっていた

アニメにも影響を与えた月とうさぎの伝説

世界中で大ブームを博した「美少女戦士セーラームーン」の主人公である「月野うさぎ」は、月を守護に持つ戦士です。
名前に「うさぎ」を採用したことが、この「月とうさぎ」の伝説に関係しているといえるでしょう。

さらに、主人公を「太陽」ではなく「月」をモチーフにしたことも、日本人が月を愛する文化に関わっていると考えらえます。

ちなみにセーラームーンは1990年代と2010年代で2回アニメ化されていますが、そのうち1990年代のうさぎちゃんの自室の布団カバーは「うさぎ柄」で表現されています。

日本に来たら、夜空の月を見上げてみよう

このように、日本文化には月に関わる内容が多いのが特徴です。

今回は特に「中秋の名月」に関わる文化をご紹介しましたが、この他にも日本には月に関わる文化がたくさんあります。

もし日本に来た際は、夜空を見上げて月を見てくれると嬉しいです。

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