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田んぼと四季が織りなす美しい風景。 1年を通して見られる景色と暮らしをご紹介

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日本では古来から、田んぼ(水田)を使った稲作が行われてきました。
そこから生まれる四季の風景や歳時記は、人々の心を癒し楽しませています。

今回は田んぼから見られる四季の風景や、そこから楽しめる暮らしをご紹介します。

春:田植えから生まれる「水鏡」

田植えは4月中旬から順次行われ、5月上旬のゴールデンウィーク頃がピークとされています。
事前に種から育てた小さな稲の苗を、水を張った田んぼに植えていきます。

まだ短い稲の苗から見える田んぼは、水が周囲の風景を反射します。
これを「水鏡」(みずかがみ、すいきょう)といいます。

水鏡は風がない穏やかな時に見られますが、そこから見られる青空はとても清々しいですよ。

田んぼ以外でも見られる水鏡

日本では、田んぼ以外でも水鏡の景色を見ることができます。
いくつか世界的にも有名な水鏡をご紹介しましょう。

山梨県にある富士河口湖から見られる富士山の水鏡。
逆さ富士」として呼ばれ、日本の絶景スポットの1つとされている。
京都府にある平等院鳳凰堂。
極楽浄土(天国)を模して作られたこの建築物は、世界遺産や10円玉硬貨のモチーフにも登録・採用されている。

日本と水の景色については、
こちらの記事でも詳しく解説しています。
あわせてご覧ください。

夏:青々とした稲が楽しめる時期

夏には稲が育ち、田んぼにあった水の代わりに緑の絨毯が景色いっぱいに広がります。
青々とした稲が太陽の光を反射する様子は、涼やかな印象を私たちに与えます。

近年は暑さが厳しい夏が続きますが、元気に稲が育っている様子を見るのは個人的に嬉しい限りです。

田んぼに植えられたひまわりの役割

太陽のように咲くひまわりは、日本の夏における風物詩の1つです。
時折、田んぼの周囲にひまわりが植えられているのをご存知でしょうか?

中には米づくりをお休みしている「休耕田」を活用してひまわり畑にするところもあるほどです。

これは景観作りだけではなく、ひまわりが持つ植物の特性を米づくりに活かすためだといわれています。

  • 肥料としての活用
    開花した後のひまわりを大地にすき込むことで、植物肥料として活用できる。
  • 土壌の改善
    ひまわりの硬く張った根が土をほぐし、水はけと通気性を向上させらせる。
  • 雑草を生やすことを防ぐ
    周辺の栄養分をひまわりが吸い込み、高さのある花と大きな葉が日光を遮ることができる。

宮沢賢治も愛したひまわり

『銀河鉄道の夜』『雨ニモ負ケズ』を執筆した作家である宮沢賢治は、農業の向上に尽力していました。彼が岩手県にある花巻農学校の講師として勤めていた際、ひまわりにまつわる逸話が残されています。

当時の東北地方は冷害に苦しみ、人々は下を向いて一所懸命農作物を育てていました。
その時、賢治は畑の真ん中に1本のひまわりを植えます。
あえて目線を上に向けるように工夫して、人々に別の角度から精神的な美しさを伝えました。

作物の緑の中に1本のひまわりが力強く咲く様子は、多くの人々を勇気づけたと語られています。

賢治がひまわりを植えたのは、厳密には田んぼではなく畑でした。
しかし、力強く咲くひまわりを見て勇気づけられるのはいつの時代も同じですね。

秋:黄金色の稲穂が美しく輝く

秋になるといよいよお米の収穫が始まります。
目の前に黄金の稲穂がいっぱいに広がる美しい景色は、一度目にすると感動で胸がいっぱいになるでしょう。

筆者も毎年この時期の美しい景色を楽しみにしています。

収穫後に見られる白い物体は何?

収穫が終わった後の田んぼには、写真のような白い物体が多く見られます。
まるで巨大なマシュマロのようなこの物体は、一体何者でしょうか?

これは「稲発酵粗飼料」(いねはっこうそしりょう)と呼ばれる飼料です。
英語では「作物を丸ごと使い、発酵から密封保存した飼料」という意味を持つ「Whole Crop Silage」と呼ばれています。

日本では、トウモロコシやお米の稲から作られているのが特徴です。

作り方は刈り取った稲穂と茎、葉をロール状にまとめます。
その後白いフィルムで包み、乳酸菌で発酵させると飼料が出来上がるのです。

白いフィルムを巻く前の稲発酵粗飼料。
「ロールケーキ」の形のようだと例えられている。

出来上がった飼料は、主に牛の飼育で使われています。

この肥料は、繊維質の多い茎葉とエネルギー価の高い実を同時に摂取できるのが特徴です。
そのため、栄養バランスに優れているのがメリットだといえるでしょう。

小さい頃はマシュマロのような愛らしい物体が、田んぼの至るところに置いてあるのが不思議でした。
それでも私たちと牛の暮らしには欠かせない飼料を、作物を余すところなく使うのは人々の知恵を感じます。

冬:刈り取られた田んぼに積もる白い雪

刈り取られた後の田んぼを見るのは、ほんの少しだけ寂しさを感じます。
しかし、雪が降ると一変して白銀の景色が広がります。
雪が光を浴びてキラキラと輝く様子は、まるで宝石のようでときめきます。

また、刈り取られた後の稲が雪から少しだけ頭を出す様子も個人的に愛らしく感じます。
最後に雪解けの水を大地に含み、また季節が巡って春の田植えが続いていきます。

田んぼと四季にまつわる暮らし

日本では、自然と共存しながら生活を重ねてきました。
その中には田んぼを使った稲作も含まれています。

自然の恵みを得た暮らしから、さまざまな伝統行事やイベントが生まれていきました。
ここでは田んぼにまつわる伝統行事やイベントをご紹介します。

お田植祭

毎年春に行われる伝統行事です。
御田植祭」「田遊び」と呼ぶこともあります。

祭りは予祝としてその年の豊作を祝うことで、秋の実りを祈願することが目的です。
田植えに見立てた振る舞いを神前で舞うこの祭りは、いくつかが国指定重要無形民俗文化財に指定されています。

田楽 (でんがく)

稲作にまつわる作業を真似て振る舞い、神様をまつる歌舞です。

当初は神事だったものの、平安時代に大流行したことで徐々に芸能としての側面を強めていきました。

特に1096年の夏に発生した「永長の大田楽」は、身分を問わず京都中の人々を熱狂させた田楽だったといわれています。

さらに、田楽を専門に行う「田楽法師」と呼ばれる職業に従事する人も出てきました。

田楽は後に能・狂言の誕生へとつながっています。
現代では鎌倉時代から伝わり、神奈川県で開催される「鶴見の田祭り」が有名です。

あえのこと

石川県能登地方に伝わる伝統行事です。
稲作と五穀豊穣を司る「田の神様」を自宅に招き、感謝を込めてご馳走を振る舞います。

これにより、田の神様に対して収穫の感謝と翌年の豊穣の祈りを捧げるといわれています。
1976年に国指定重要無形民俗文化財、2009年にはユネスコ無形文化遺産に登録されました。

田植え体験

食育と農業の推進目的から、春の田植えの時期に体験イベントが開催されています。
また、学校によっては授業の一環として行われる場合もあります。

田植えイベントは自然の恵みのありがたさと、生産者の思いや努力を知ることができる貴重な機会です。

地域に住まうさまざまな年代の方や他の参加者と触れ合えるのも、田植えイベントの魅力の1つだといえるでしょう。

泥んこバレー

田植え前の田んぼや休耕田で行うバレーボールのイベントです。
水を張った状態の田んぼにコートを設置するため、足元が泥でぬかるみます。

泥だらけになりながら楽しむ開放感と全身を使って自然と向き合える体験ができるため、大人から子供まで多くの人に大人気のイベントとなりました。

現在は地域おこしの一環として、日本各地で行われています。

田んぼアート

最近のイベントだと、田んぼをキャンバスに見立てた「田んぼアート」も流行しています。
ジャポニカ米に古代米を加えた様々な色のお米からできた絵柄は、上空から見ると圧巻ですよ。

まとめ:
田んぼの風景はまさに「自然のカレンダー」

筆者の家は農家ではなかったものの、通学路の目の前に広がる田んぼを眺めながら幼少期を過ごしました。
田んぼを見ながら四季の移ろいを感じるのは、子供心ながらに深い趣を感じたものです。

一方で、進学や就職に伴う引っ越しで田んぼの風景が暮らしになくなった時はとても寂しく感じました。

少なくとも筆者の中では、自分の暮らしと四季が田んぼの風景に根づいていたと振り返ります。
まさに「自然が織りなすカレンダー」と言っても過言ではないでしょう。

毎日わずかな季節の移ろいを見せ、私たちの心を癒す日本の田んぼ。
ぜひあなたも田んぼに季節の移ろいを重ねながら、思いを馳せてみるのはいかがでしょうか。

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