
京言葉の建前と本音とは?謎を探ると深い魅力が見えてきた

「日本人といえば礼儀正しくて真面目なイメージ」
「来日した際、丁寧なサービスを受けて感動した」
海外から日本へ旅行に来た方から、このような話をよく聞きます。
一方で、日本に暮らす人々と対話した際に
「曖昧な表現だったため、実際は断られていることを知らなかった」
という声もありました。
中には、「京言葉は真意を読み解くのが難しい」という話が出たことも。
同じ日本人でも魅力と謎が共存していると感じる京言葉。
そこで今回は、実際に京都に暮らすメンバーにインタビューをしてみました。
京言葉の魅力も一緒に知ることができたので、この記事を通して皆さんに共有します。
日本におけるコミュニケーションの傾向

まず、日本で行われるコミュニケーションの特徴について解説しましょう。
日本の公用語は厳密には法律では定められていません。
しかし、生活のほぼ全ての場面で「日本語」が使われており、事実的な公用語としての位置を確立しています。
この日本語、実は世界の中でも独自の特徴があるのはご存知でしょうか?
以下に世界の言語と比べた日本語の特徴を挙げていきましょう。
① 複数の文字を組み合わせて表現する
日本語を構成する文字は「ひらがな」「カタカナ」「漢字」の3つです。
中国大陸から伝わった漢字をもとに、平安時代に音を表すひらがな、カタカナが生まれていきました。
② 動詞が文章の最後に来る
通常多くの言語は、主語の直後に動詞が来ます。
しかし、日本語はこの限りではありません。
日本語では全ての文で、動作や目的を表す動詞(述語)が文の最後に来ます。
そのため、時に日本語は「結論を知るまでが長い」と感じることが多いようです。
③ 曖昧で言い切らない、本音を隠す表現が多い
冒頭で話した通り、時折海外の方から「日本人は意思表示が曖昧」という印象を受けるようです。
中には「実際の発言(建前)と本音が異なり、とても驚いた」という声も聞かれました。
「本音を隠す」表現とは
これは以下の内容が当てはまるのではないかと、筆者は考えます。
- 言葉だけでなく、表情や周囲の空気で「察する」
「あえて言語化せず、表情や空気で相手の意図を察する」という会話の手法が多いです。 - 自己主張が控えめ
時に自らの意思や要望をあえて伝えない選択をすることも。
これは周囲の調和を優先する文化が素地となっています。 - 角が立つ表現は避ける
公共機関やオフィシャルの場において、相手に対して言動をやめて欲しい時に、
「〜しないでください(Do not〜)」という表現はあまり使いません。
代わりに「〜はご遠慮ください / 〜はお控えください(Please refrain from〜ing)」を使うことが多いです。
※ただし、最近は日本でも「〜はご遠慮ください」という意味が「禁止」という意味ではないと捉えられる傾向も出てきています。
正しくは「〜しないでください」という「禁止、制止」を求める表現なので、指示された言動は控えるようにしましょう。
また、2010年代の訪日外国人の増加に伴い、「〜しないでください(Do not〜)」という表現を採用する傾向があります。
日本語で曖昧かつ言い切らない表現が多い理由
なぜ、日本語において曖昧で本音を隠し、言い切らない表現が多いのでしょうか。
その理由としては、「周囲の調和を重んじる」日本の精神が影響していると考えられます。
例えば、相手の言動を制止/禁止を求める際に、「〜しないで」と言い切ってしまったとしましょう。
この言い方であれば確かに自分の要望である「制止/禁止」はきちんと伝えられるかもしれません。
しかし、言われた側は時に腹が立ったり、悲しい思いをする可能性があります。
最悪、両者の関係が険悪になるリスクもあるでしょう。
そうならないためにも、あえて「伝え方を柔らかくして、良好な関係を保つ」ことが優先されたと筆者は考えます。
曖昧?それとも?「京言葉」の真意

同じ日本人でも、東日本と西日本との間で若干コミュニケーションの違いがあります。
とりわけ、京都の方々が話す「京言葉」は、言葉の裏に隠れた真意が鋭すぎると話題になりました。
では、京言葉とは具体的にどのようなコミュニケーションなのか。一緒に見ていきましょう。
「ええ時計してはりますなあ。」この真意はいかに?
突然ですが、あなたが京都に旅行に行ったとしましょう。
そこで現地の人と会って会話が盛り上がった際、つけていた腕時計を見てこのように言われました。
「ええ時計してはりますなあ。」
標準語に直すと「良い時計をしていますね。」となるこの言葉。
言葉通りに受け取れば、時計を褒められているように聞こえるでしょう。
しかし、京言葉としての真意は「そろそろ話を終わりにしませんか?」
つまり、会話の場をお開きにしようと促しているようです。
この意味は以下の流れから連想されているようでした。
① 良い腕時計をしていますね (京言葉、実際の発言)
↓
② 時計を見てほしい
↓
③ 時間がずいぶん長く経っていることに気づくだろう
↓
④ そろそろ話を終わりにしませんか? (本音)
この他に使われている京言葉

この他にも使われている京言葉は以下の通りです。
※()内の言葉は標準語に直したものとなっております。
- よう知ってはるな (よく知っていますね。)
→お喋りが少々過ぎるので、静かにしてください。 - 後から誰か来はりますの? (後から誰か来るのですか?)
→ドアが開けっぱなしだから閉めてください。 - (着用している衣服に対して) 綺麗な柄やねえ。(綺麗な柄ですね。)
→派手すぎる柄ではありませんか? - ピアノ上手になりましたなあ。 (ピアノの演奏が上手になりましたね。)
→もっと静かに過ごしてくださいね。 - (頂き物に対して)こんなお上品なものを。
→私にとってそれは不要です。
時に鋭すぎる、怖いという印象を与えることも…?
京言葉は時に、真意が鋭すぎるとSNSで話題となりました。
確かに、日本語は「曖昧で本音を隠す傾向」はあるものの、それはあくまで場の調和を優先するため。
しかし、SNSで紹介された京言葉は「京言葉の裏に隠された真意が怖すぎる」と話題となりました。
さらに、京言葉の影響なのか昨今のアニメや漫画においても、一つのテンプレートが出現します。
それは「京都出身のキャラクターは男女問わず笑顔を浮かべながら毒舌を伝える」ことです。
京言葉を使って相手を挑発したり、内心で毒づく姿は外見と異なる強いギャップを感じる表現となっていきました。
中にはバトル漫画で「ぶぶ漬けでもどうどす?」と笑顔で言いながら、武器を相手に向けるキャラクターも。
※ちなみに「ぶぶ漬けでもどうどす?」の意味は、長居する客に対して遠回しに帰宅を促す意味です。
なお、2020年代現在の京都では使われていない京言葉とのことでした。
たおやかで優雅な雰囲気の裏に隠すナイフのような鋭い真意に、同じ日本人でも恐怖を覚えることがありました…。
京都の人から見た「京言葉」

では、実際に京都に暮らす方々は「京言葉」をどのように思っているのでしょうか。
京都に暮らしている、本メディアの運用メンバーにインタビューを行いました。
① 京言葉は実際に京都で話されている?
京言葉は日常的に話されている方も多いです。
② 京言葉=相手への攻撃、皮肉という噂は本当…?
京言葉の全てが、相手に対して皮肉や攻撃を伝える意味を持つ言葉ではありません。
その理由として、京都の方々の気配りがあげられます。
個人的には、相手が気になさらないように遠回しに教えてくださることが多い気がします。
ただ遠回しすぎて、時に相手に伝わりにくい時もあるかもしれません。
③ 京都で暮らす人からみた、京言葉の印象
京都ではさまざまな伝統や趣を大切にしたい思いもあるように感じます。
その中で、京言葉は特にはんなりとした印象で和むこともあると思います。
確かに、修学旅行で訪れた京都で出会った人々は、たおやかで温かい気配りを感じることが多くありました。
京都の方々が持つ思いやりと伝統を重んじる姿勢が、京言葉に出ているのではないか。
今回メンバーの話を聞いて、京言葉の印象が変わった出来事でした。
まとめ:
京言葉は「思いやり」と日本の伝統が積み重なっているものだった

筆者は関東住まいのため、この話を聞いて京言葉の印象が変わりました。
確かに、旅行で訪れた際には京都の人々のたおやかな言動に癒された経験があります。
所作もゆっくりと美しく、同じ日本人として学びたいと感じた出来事でした。
また、日本でのコミュニケーションは「自己主張」よりも「場の調和」を重んじる傾向があります。
特に京都は、国内・海外問わず昔から多くの人々が訪れる土地です。
そのような文化と土地だからこそ、日本古来の伝統や趣を大切にしつつ、相手への思いやりがコミュニケーションに滲み出ていると感じました。
今回の執筆を通して、先入観から物事を判断せずわからないことは相手に聞くことが改めて重要だと学びました。
相手と対話を重ねて本当の思いを知っていく言動を、これからは大切にしていきたいです。
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