古都 KOTO Gift for your loved ones
古都は、日本の伝統文化の奥深い世界を
お届けするメディアサイトです。
職人たちが受け継いできた技術の物語、
現代に息づく文化の魅力、
そして時代を超えて愛され続ける美意識を
様々な角度からご紹介しています。

記事を読む

重要なお知らせ

織物の街・足利で生れた(足利銘仙)

  • home
  • story
  • 織物の街・足利で生れた(足利銘仙)

長い歴史を持つ足利の織物文化

織物の街として知られ、繁栄してきた足利市。

その歴史は奈良時代から始まるといわれており、正倉院の記録によると奈良の大仏開眼の際に、御領地として織物が送られたそうです。

江戸時代になると木綿織物が多くなり、(足利結城)や(木綿縮)などが人気となり、足利織物は大衆に広く受け入れられるようになります。

明治時代になり、足利では絹織物に力が注がれるようになり、力織機を導入するなどして、それまでの生産方法を改良しました。また、アメリカやヨーロッパ諸国の市場開拓に努め輸出を拡大していきます。そして、昭和時代になると織物の主力は内地物になり、手頃な価格の絹織物(解し織)が中心となります。その中でも素晴らしいデザインの(足利銘仙)の生産は増加していき、昭和8・9年ごろには、デザイン性の優れた足利銘仙は、銘仙の中で人気を独占したといわれています。

足利銘仙とは?


足利銘仙は、栃木県の足利で生産される絹を素材とした先染めの平織物です。

江戸時代の中期頃からあったと言われています。もともとは太織り(ふとり)と呼ばれており、正常に糸をとることができない廃棄処分となることが多い「玉繭」や「屑繭」から採れる太い糸を緯糸(よこいと)に用いた丈夫な平織物でした。

この厚地で丈夫な織物は、自家用の織物だったようです。江戸時代後半となりますとこの太織り(ふとり)が庶民の間に広まり、武士が普段着や略式の晴れ着として着用していたようです。

この頃から太織り(ふとり)を「太」が「肥える」を連想させるため女性の衣料には適当でないことから「銘仙」という名が用いられ始めたといわれています。 

経糸の本数が多くて緻密な織物だったことに由来するように、目が細かいので「目千」、縞専門で「目専」と言われたのが転訛してめいせんとなった説、銘茶や銘酒の「銘」と仙境で織られる事を想像させるような「仙」をとり、「銘仙」としたという説もあり、消費意欲をかきたて、高級感を与えるような当て字にしたのではないかということが考えられます。

この江戸時代後半から明治時代には、縞柄がほとんどでしたが、明治から大正時代になると経糸(たていと)と緯糸(よこいと)の糸を故意的にずらすことで、色の境界がぼけるような柔らかい見栄えの銘仙が当時の流行となりました。足利銘仙は「解し絣」が多かったようです。

大正2年(1913年)には「解し織り」が足利の根岸藤平、関川粂蔵によって特許出願24612号となり、現在では、栃木県伝統工芸品となっています。

解し織とは


解し織は、経糸(たていと)(1,6001,700本)を織機にずれないように並べて、粗く仮の緯糸(よこいと)を仮織りし、一度1反分を巻取り織機よりはずす。

1反分の仮織りの糸が入った経糸を板場(いたば)に貼り付け、1色ごとに模様の彫られた型紙を使い、糊を混ぜた染料をヘラで柄をつけながら、濃い色から薄い色へと型染めしていく。

その後、反物を巻き取り、蒸し上げ、色を定着させる。再度、織機にかけ、染めておいた緯糸(よこいと)を仮織りした緯糸(よこいと)を抜きほぐしながら本織りの緯糸(よこいと)を入れ込み本織りする。 この解し織技法ができたことで柄の種類が豊富になり、縞柄や矢絣が多かった銘仙に曲線的なデザインのアール・ヌーヴォーや直線的かつ幾何学模様のアール・デコができ、抽象画のような模様や大胆な花模様などの柄ができたといわれています。

こうした技術革新によって、大正末期~昭和初期のモダン文化の流行に乗って、欧米の洋服地のデザインの影響を受けた色鮮やかな「模様銘仙」が大流行します。

足利銘仙は最先端だった

昭和に入りモダンな柄が生まれ、designが進化していった足利銘仙ですが、

今でいうPR(プロモーション)の先駆けともいえる手法をとっていました。

大物女優に足利銘仙を着ている姿を一流の画家にポスターを描いてもらい、

大々的にアピールをしていきました。そのおかげもあり、足利銘仙の人気は国内で広がっていきましたが、太平洋戦争をきっかけに生産量は減少し、戦後の洋装化の波にのまれ、

衰退していきました。

次回の生地では、衰退した足利銘仙を復活させたプロジェクトをお伝えしていきます。

SHARE

( BACK TO ALL )

( waza )

( KEYWORDS )