
味や形に違いがある!?東日本と西日本における食事の違いをご紹介
日本食は、健康的な栄養バランスと素材の旨みを活かした味つけを強みに持ち、世界中の人々から「おいしくてヘルシー」だと愛されています。
そんな日本食ですが、地域によって味や形に違いがあるのはご存知でしたか?
今回は日本を「東日本」と「西日本」に分けて、日本食の違いをご紹介します。
東日本と西日本とは?

日本列島を東西に分け、東側を「東日本」西側を「西日本」と呼びます。
東日本と西日本の区別は厳密にはありませんが、以下のような分け方をすることが多いです。
① 地理・行政上の区分
東日本:北海道、東北、関東地方
西日本:近畿、中国、四国、九州地方
※中部地方は状況に応じて東日本または西日本のいずれかに分けられます。
② NTT (固定電話) の区分
東日本:北海道、東北、関東地方に加えて以下の中部地方の県を含む。
山梨県、新潟県、長野県
西日本:近畿、中国、四国、九州地方に加えて以下の中部地方の県を含む。
富山県、岐阜県、愛知県、静岡県、石川県、福井県
③ 地質学上の区分
「フォッサマグナ」と呼ばれる溝が日本の中央部にあり、
そこから東側を「東日本」、西側を「西日本」と決めています。
東日本と西日本それぞれの主な都市をご紹介しましょう。
主な都市
東日本:
札幌 (北海道)、仙台 (宮城県)、東京23区 (東京都)
西日本:
京都 (京都府)、大阪 (大阪府)、博多 (福岡県)
東日本と西日本の食文化の違いをご紹介
それぞれの地域の食文化の違いについて詳しく見ていきましょう。
よく使われるお肉

西日本でお肉といえば、「牛肉」が主流です。
しかし、東日本では「豚肉」が使われることが多いようです。
日本でお肉が食べられるようになったのは明治時代からですが、その時は牛肉料理が広まっていました。
その後社会情勢により牛肉が手に入りにくくなると、西日本では農耕用に飼っていた牛を牛肉として食べるようになったと言われています。
しかし、東日本では農耕用として馬が飼われ、食べられる部分が少なかったことから代わりに豚肉を食材として使うようになりました。
食事の味付け

西日本では「昆布」や「いりこ」をだしにして「うすくち醤油」で味を整えますが、東日本では「カツオだし」に「かえし」と呼ばれる濃い醤油と砂糖、みりんでできた調味料を使います。
だしは料理の味つけに大きく影響するだけでなく、生まれ育った家庭の味のアイデンティティです。
そこで、「だし」にまつわるエピソードを2点ご紹介しましょう。
①うどんの「つゆの色」
筆者は中学校の修学旅行で京都に行きましたが、そこで食べたうどんの「つゆ」が透明であることに衝撃を受けました。
筆者が当時住んでいた地域は東日本にあり、そこでのうどんの「つゆ」は濃い茶色だったからです。
現地のタクシーの運転手さんからは「おだしが効いているからつゆまで飲んでほしい」と勧められ、恐る恐る飲むとおだしの複雑ながらも優しい味わいに感銘を受けたことを今でも思い出します。
②卵焼きの「味付け」
卵焼きはお弁当の具材にも使われる人気の日本食ですが、味付けは地域や家庭によって大きく異なります。
筆者の家庭は砂糖がベースの「甘い」味付けでしたが、それを西日本から来た大学時代の同級生に話すと「卵焼きはだしと醤油のしょっぱさが王道」と勧められ、どちらの味付けが良いか時折論戦を交わしたことがありました。
なお、最近は「白だし」を水で薄め、砂糖で味を整えるのが筆者の家での味付けとなりました。
料理の呼び名

突然ですが、上の写真の日本食は何と言うでしょうか?
実はこの日本食は、東日本と西日本で呼び方が異なります。
東日本:おにぎり
「握り飯」から名前が由来し、魔除けの意味をこめて「鬼切り」に転じた説があります。
西日本:おむすび
「お結び」とも書かれ、以下の説が伝えられてます。
- 日本神話である「古事記」に登場する神様が由来
- 良縁を「結ぶ」縁起の良いものから来ている
- 貴族の女性たちが使う「女房言葉」から生まれた
※由来や地域の呼び方の違いは諸説あり。
ただし、現代は呼び名の違いはほぼ無く、「一般社団法人おにぎり協会」の見解では「おにぎりとおむすびの呼び名の違いは、家庭・個人レベルの違いである」とのことでした。
ちなみに形は三角以外にも丸や円柱(俵)の形があります。
以前おにぎり(おむすび)を丸にする地域に旅行にいった際に理由を聞くと、「人間関係で角が立たず、円満に過ごせる」という願いが込められているからとのことでした。
ケンカをせず皆が仲良く過ごせるようにという思いが、日本食に現れている様子が見られますね。
その後に食べたおにぎりは、いつもよりほっこりと優しい味を感じました。
お雑煮のもち

毎年1月1日からのお正月に食べられる「お雑煮」でも文化の違いが見られます。
西日本では丸い形の「丸餅」、東日本では四角い形の「角餅」が使われています。
ちなみに、このお雑煮で使われるだしも、東日本と西日本での違いがあるようです。
日本食以外の文化の違い
東日本と西日本では、食事以外の文化の違いはあるのでしょうか?
ここでは簡単に、それぞれの文化の違いをご紹介します。
電気の周波数
東日本は「50ヘルツ」西日本は「60ヘルツ」の違いがあります。
著者が以前東日本から西日本に引っ越しをした際に、周波数が違う理由から持ち込んだ家電が使えないことがありました。
コミュニケーションと言葉
同じ飲食店でも、東日本と西日本で略称が異なる場合があります。
また、東日本では敬語を使う一方、西日本ではフランクに話しかける人が多い傾向です。
ただし、あくまで「傾向」なので、それぞれの相手に合わせてコミュニケーションを取りましょう。
エスカレーターの立ち位置
駅やショッピングモールなどにあるエスカレーターでは、急ぐ人に向けて片側を空けて乗るのが日本のマナーです。
ただし、空ける位置は東日本では「右側」、西日本では「左側」の違いがあります。
時折旅行に行くと、「どちらを空けるべきか」悩む時がありますが、その時は周囲の人の流れに合わせて動くと良いでしょう。
日本のことわざで例えるならば、「郷に入れば郷に従え」です。
まとめ:
同じ日本でも文化が異なる場合あり
同じ国である日本でも、東日本と西日本では文化が異なる事例をお伝えしました。
最近では流通や人の往来の観点から、これらの違いは徐々に縮まってきています。
しかし、地域ごとの文化や背景に目を向けるのは、過去の人々が培ってきた生活の知恵や願いを知ることができるとても大切なものです。
もし旅行で東日本と西日本に遊びに行くことができたら、地域ごとの違いを探してみるのはいかがでしょうか?













