
実は覚えることがたくさん!?日本語の特徴を覗いてみよう

美しい発音や相手を思いやる表現が特徴の日本語。
現在実質的な公用語として使われているのは日本のみとなっています。
日本語についてのイメージをSNSで見ると、世界中では「世界一難しい言語では?」という声を時折見かけます。
そこで、この記事では日本語についての特徴を覗いていきましょう。
日本語の特徴

私たちが普段使う日本語の特徴を、他言語と比べながら見ていきましょう。
① 複数の文字を組み合わせて表現する

日本語を構成する文字は「ひらがな」「カタカナ」「漢字」の3つです。
中国大陸から伝わった漢字をもとに、平安時代に音を表すひらがな、カタカナが生まれていきました。
ちなみにひらがなとカタカナは以下の違いがあります。
ひらがな
「草書体」と呼ばれる漢字の形を、さらに崩して生まれた文字。
「さくら」「はんなり」など、柔らかい曲線で構成されていることが特徴。
平安時代は女性貴族が和歌や手紙に書く目的で多く使用されていたが、現代では以下の表記で使われている。
- 日本固有の言葉 (和語):「さしみ」「くらし」など
- 助詞、助動詞:「〜が(助詞)」「〜です/ます(助動詞)」
- ふりがな:漢字の読みを表記する:京都(きょうと)など
※ふりがなは後述するカタカナが使われる場合もある
カタカナ
漢字の一部を省略したものが由来の文字。例えばカタカナの「ア」は、漢字「阿」の左側部分(こざとへん:阝)から生まれた。
かつては僧侶が漢詩を学ぶときにふりがなとして使っていたが、現代では以下の表記の際にカタカナを用いる。
- 外国語の人名、地名の表記:「ロンドン」「ジョン」など
- 外来語の表記:「トラベル」「フォトスポット」など
- 学術用語:「サクラ」「オオサンショウウオ」など
- 擬態語、擬音語(オノマトペ):「バーン!」「チカチカ」など
さらに、国際化やIT化の情勢変化に伴い、ローマ字としてアルファベットを活用する傾向もあります。
例えば駅名表示で「Kyoto(京都)」と書いたり、パスポートの氏名記載やパソコンでの文字入力での採用が代表的です。

漢字とひらがなの読みに加えて、ローマ字表記がされています。
日本語のように複数の文字が使われていることを「ダイグラフィア」といいます。
ダイグラフィアの特性を持つ世界の言語では、日本語以外だとセルビア語やインドのコンカニ語が挙げられます。
日本語を使う際は、まずひらがな、カタカナ、漢字の3つを覚えなくてはいけません。
覚える文字が多いため、日本語を学ぶ際に大変だという声が聞かれる最初のポイントでしょう。
② 動詞(述語)が文章の最後に来る

通常多くの言語は、主語の直後に動詞(述語)が来ます。
しかし、日本語はこの限りではありません。
例えば、「来週京都へ行く」「その目的は友人と会うため」ということを日本語で伝えると、以下のようになります。
「私は日本文化を学んでいる友人に会うために、来週京都へ行く予定です。」
動詞に当てはまる「行く」が文の最後に来ていますね。
これを世界の共通語である英語で表現してみましょう。
「I am going to visit Kyoto next week to meet my friend who is studying Japanese culture.」
今後は逆に、主語の直後に「行く(go)」が来ています。
述語が最後に来る言語は日本語以外にも、韓国語やヒンディー語、モンゴル語などがあります。
これらは「SOV言語」と呼ばれ、アジア地域を中心に使われていると言われています。
時に「結論が分かりにくい」という側面も…
日本語のようなSOV言語は、動詞(述語)が最後に来る点が特徴です。
そのため、結論を最後まで聞かないと内容が分かりにくいという側面があります。
最近ではビジネスの場において「結論」を最初に伝え、根拠や背景は後に続ける手法が好まれています。
先ほどの「来週京都に行く」話を、あえてビジネス的に言い表してみましょう。
「私は来週京都に行きます。」
「理由は友人に会うためです。」
「その友人は日本文化を学んでいる人です。」
だいぶ結論や背景を分かりやすく捉えられるようになったと感じませんか?
もう一度、最初に挙げた日本語を掲載して比較してみましょう。
「私は日本文化を学んでいる友人に会うために、来週京都へ行く予定です。」
このように、時と場に応じて結論を先に伝えたり、1文を短く伝えていくことも有効だといえるでしょう。
③ 敬語の使い分け

日本語では目上の相手に対して使う「敬語」という表現があります。
敬語は主に3つのグループで分けられているのが特徴です。
(1) 尊敬語
ある動作をする対象の相手が「目上の方」に対して使われます。
例1) 食べる→「召し上がる」
どうぞ、冷めないうちにお召し上がりください。 (目上の方が食べる動作をする人)
例2) 来る→「いらっしゃる」「お見えになる」
山田部長が会議室にお見えになりました。(会議室に来たのは目上の方)
(2) 謙譲語
謙譲は「自分を下げて相手を立てる」という意味です。
ある動作をする対象が「自分」の場合である際に使われます。
例1) 食べる→「いただく」
お昼はすでにいただきました。(自分が食べる動作をした人)
例2) 行く→「伺う」
明日は午前10時に伺う予定です。(自分がある地点に出向く)
(3) 丁寧語
単語や文章を丁寧にする意味を持つパーツをつけた言葉です。
具体的には語尾に「です」「ます」をつける、単語の頭に「お」「ご」をつけることなどが挙げられます。
私たちが書いている記事の文面も「です」「ます」口調なので、これも1つの丁寧語ですね。
例1)
明日は11時に京都駅に集合です。
皆さんに会えることを楽しみにしています。
例2)
弁当→お弁当
確認→ご確認
また、相手を気遣い敬語の雰囲気を柔らかくするために「クッション言葉」を使うこともあります。
例3) お手数ですが、今一度お忘れ物がないかご確認ください。
例4) 恐れ入りますが、車内でのおタバコはご遠慮ください。
敬語のマスターは日本人でも難しい

尊敬語と謙譲語は同じ動作でも対象の相手によって使う言葉が違います。
また、丁寧語の「お」「ご」は、つけてはいけない単語もあります。
例えば「ビール」など、日本国外が由来の「外来語」はつけてはいけません。
敬語は使い方を誤ると相手に失礼になる場合があります。
そのため、複雑ながらも1つずつルールを押さえてマスターしていくことが重要です。
筆者が体験した「敬語の失敗」エピソード
実際に筆者が美術館でアルバイトをしていた際、敬語で失敗したことがありました。
その内容は「二重敬語」と呼ばれるものです。
当初来館者のチケットを確認する際、「チケットを拝見いたします。」と伝えていました。
ここでは「拝見」「いたします」が敬語にあたります。
つまり、敬語を2回重ねて使っている点がかえって失礼になると、先輩が教えてくれました。
そこで、先輩からは「チケットを拝見します。」と伝えることを提案されます。
これで敬語が1つになり、シンプルながらもお客様への敬意が伝えられる言葉にすることができました。
敬語は相手を敬う姿勢を表明できる大切な日本語です。
しかし、使いすぎは慇懃無礼な印象を与え、かえって相手に対して失礼になってしまうことを学んだエピソードでした。
④ 曖昧で言い切らない表現が多い

よく海外の方に驚かれることとして、「日本人は意思表示が曖昧な時がある」という点が挙げられます。
これは以下の内容が当てはまるのではないかと、筆者は考えます。
言葉だけでなく、表情や周囲の空気で「察する」
日本では「ハイコンテクスト」とも呼ばれるコミュニケーションの特徴があります。
ハイコンテクストは「あえて言語化せず、表情や空気で相手の意図を察する」点が特徴です。
これは相手との関係性や社会において、背景や文脈、共通認識が共有されていることからできるコミュニケーションといえます。
いわゆる「暗黙の了解」「以心伝心」「空気を読む」という文化が浸透しているのも、この素地ができているからでしょう。
行動の制止を促す表現がマイルドである
突然ですが、もしもあなたが京都に行くために新幹線に乗っていたとしましょう。
その際、「車内での通話はお控えください。」「おタバコはご遠慮ください。」と言われたら、どのように感じるでしょうか。
パッと見ると、「絶対NGではないけど、できればやめてほしい…。」という感覚に見えるでしょう。
しかし、実際は「やめてください」という禁止の意味を持つ用語となります。
なぜマイルドに禁止の要望を伝えているのでしょうか。
これは、「相手に対して不快感を与えないため」といえるでしょう。
端的に要求を伝えるよりも、周囲の和を重んじた文化
日本では古来から、「周囲の人間関係の調和」を重んじてきました。
この美徳は、604年に聖徳太子によって制定された憲法十七条でも見て取れます。
「和を以て尊しとなす」(どのような物事でも争いを避けて皆が仲良く取り組むことが尊いことである)という条文は、まさに日本が重んじてきた「調和の文化」を表現しているでしょう。
ちなみに近年では、若年層が「ご遠慮ください」という用語を本来の意味で捉えていないという投稿が議論を呼んだこともあります。
定期的に日本語の意味が変化していることもあり、この投稿を見た際に「正しい日本語の意味と扱いを日々問われているのではないか」と筆者は感じました。
日本人はどうやって日本語を勉強しているの?
ここまで複雑な特徴を有する日本語ですが、どのように勉強・習得しているか気になる方もいらっしゃるでしょう。
そこで、私たち日本人がどのように日本語を勉強しているかご紹介していきましょう。
※今回紹介した勉強方法はあくまで一例です。
個人の特性や生活状況によって、若干の変化がある可能性がございます。
あらかじめご了承ください。
幼少期:絵本の読み聞かせ

幼児の発達過程において、幼い頃から絵本の読み聞かせが有効だと言われています。
特に絵本は「オノマトペ」も多く含まれているため、初めて触れる言語(日本語)の面白さも体感できるでしょう。
学童期①:ひらがなやカタカナ、漢字の書き取り
家庭や幼稚園/保育園の所属先の違いもありますが、おおむね6歳前後からひらがな・カタカナを書き取る練習を始めます。
筆者は幼稚園に通っていたため、6歳(年長クラス)からひらがなを書く練習を幼稚園で行ったことを覚えています。
小学校に入ると、本格的に国語(日本語)の授業で漢字の読み書きを行います。
学童期②:読み書きの練習

小学生から始まる国語の授業では、漢字以外にも以下の内容を取り上げます。
文章の読み取り
国内外で有名な文学や説明文(評論)を読み、筆者の意図や考え、ポイントを読み取ります。
特に「登場人物の気持ちを考える」設問は、日本特有の「ハイコンテクスト」なコミュニケーションを読み解くのに重要です。
音読
小学校の国語の宿題として、詩や文章を声に出して読む「音読」という作業が課されることがあります。
音読は正しい日本語の発音やイントネーションを培うとともに、文章の理解力と表現力を上げる効果が期待されています。
ちなみに筆者が小学生の頃は、家族に聞かせた後にサインをもらうことで宿題を実施したことになっていました。
最近ではICT教育が加速し、タブレットに音声録音したデータをクラウド上で提出する仕組みになっているようです。
作文の執筆
お題に沿って自分の気持ちや考えを書く「作文」の練習もあります。
特に、夏休みの宿題として有名なのは「読書感想文」です。
指定された書籍を読んでその感想を文書でまとめる作業は、読む力と書く力両方をつける練習になります。
俳句、川柳、詩の作成
ごくたまに、俳句や川柳、詩の読み取りや作成を行うことも。
短い言葉で情景や気持ちをまとめる手法は、日本独自の文化を学ぶ側面でも重要な役割を果たしています。
四字熟語やことわざの学習
「以心伝心」といった四字熟語や、「石の上にも三年」といったことわざを学びます。
これらは教訓を分かりやすいように伝えた言葉であることから、紹介する本が図書室に置かれることもあります。
ちなみに、小学生の時は「作文」として主観的な感想を題材に取り上げることが多いです。
これが中学生〜高校生になると「小論文」に切り替わり、論理的な説明と端的な文章を書く力が求められます。
一部の学校では入学試験に小論文を課す場合もあるため、対処できるようになりたいところでしょう。
青年期:敬語でのやり取り

中学生になると、先輩や先生に対して敬語で話す文化が主流となります。
ここで礼儀や上下関係、敬語がより身近になってくるでしょう。
また、社会人になる際は入社試験で面接があります。
ビジネスマナーとして「正しい敬語」が使えることが求められます。
学生時代の国語である程度取り上げられるものの、ここで敬語の使い方を改めておさらいすることが多いです。
この他にも、趣味で俳句や短歌を学んだり、読書で語彙を深めることがあります。
日本語の表現や語彙は奥深いため、学ぶ要素が尽きないのも魅力だと筆者は考えます。
まとめ:
日本語は複雑ながらも、奥深い魅力がたくさんある

このように、日本語は複雑で覚えることがたくさんある言葉です。
近年では日本でも若年層を中心に「正しい日本語が使えない」「読み書きの能力が低下している」ことが懸念されています。
しかし、日本語の特徴や魅力を知っていくとその奥深さに驚くことが多々あります。
筆者も執筆作業を通して、まだまだ日本語を扱う力を向上させたいと感じました。
この記事を通して、日本語の奥深さや特徴を理解する手助けとなれば嬉しい限りです。
『古都 KOTO』ではこの他にも日本語について記事を解説します。
ぜひ他の記事も一緒にご覧ください!
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