
実は覚えることがたくさん!?日本語の特徴を覗いてみよう

美しい発音や表現が特徴の日本語。
現在実質的な公用語として使われているのは日本のみとなっています。
しかし、日本語についてのイメージをSNSで見ると、難しいという声を時折見かけます。
中には「世界一難しい言語では?」という意見もあるほどでした。
そこで、この記事では日本語について、特徴を覗いていきましょう。
他言語との比較も掲載しているので、違いをぜひ見比べてもらえると嬉しいです。
日本語の特徴

私たちが普段使う日本語の特徴は、主に4つ挙げられます。
- 複数の文字を組み合わせて文を作る
- 動詞(述語)が文の最後に来る
- 複数の敬語を使い分ける必要がある
- 曖昧な表現が多い
特に複数の敬語や曖昧な表現の多さは、日本語を母語にしている私たちでも時に迷うことがあります。
それぞれの特徴について、詳しく一緒に見ていきましょう。
① 複数の文字を組み合わせて文を作る

日本語を構成する主な文字は「ひらがな」「カタカナ」「漢字」の3つです。
かつては中国大陸から伝わった漢字のみが使われていました。
794年から始まった平安時代に入ると、「国風文化」と呼ばれる日本独自の文化が生まれます。
その時に漢字を素体にした「ひらがな」と「カタカナ」が作られました。
それぞれの文字の違いを見ていきましょう。
(1) ひらがな
「草書体」と呼ばれる漢字の形を、さらに崩して生まれた文字です。
「さくら」「はんなり」など、柔らかい曲線で構成されています。
ひらがなの種類は「あ」から「ん」までの46文字です。
これを「五十音」と呼びます。
4文字少ないのは、時代の流れによって使われなくなったひらがなが削除されたためです。
また、「濁音」「半濁音」と呼ばれる記号を使うことで、ひらがなの表記を増やすことができます。
濁音は「だ」「が」のように、ひらがなの右上に点を2つつけたものです。
また、半濁音は「ぱ」「ぷ」のように、小さい丸の記号がつきます。
かつてのひらがなは、平安時代は女性貴族が和歌や手紙に書く目的で多く使用されていました。
現代の日本では、主に以下の内容を書く際に使われています。
ひらがなが使われる内容
- 日本固有の言葉 (和語):「さしみ」「くらし」など
- 助詞、助動詞:「〜が(助詞)」「〜です/ます(助動詞)」
- ふりがな:漢字の読みを表記する:京都(きょうと)など
※ふりがなは後述するカタカナが使われる場合もある
(2) カタカナ
漢字の一部を省略して生まれた文字です。
例えば例えばカタカナの「ア」は、漢字「阿」の左側部分(こざとへん:阝)から生まれました。
カタカナもひらがなと同じく、「ア」から「ン」までの46文字が使われています。
また、濁音と半濁音もひらがなと同じルールでつけるのが特徴です。
かつては僧侶が漢詩を学ぶときにふりがなとして使っていました。
一方で、現代では以下の表記の際にカタカナを用いています。
カタカナが使われる内容
- 外国語の人名、地名の表記:「ロンドン」「ジョン」など
- 外来語の表記:「トラベル」「フォトスポット」など
- 学術用語:「サクラ」「オオサンショウウオ」など
- 擬態語、擬音語(オノマトペ):「バーン!」「チカチカ」など
ひらがな、カタカナは漢字から生まれていますが、漢字と異なり単体で意味を持つことはありません。
あくまで読みの音を表すことができる「表音文字」としての役割を持っています。
(3) 漢字
中国大陸から伝わった文字です。
「京都」「平安」など、多くの漢字が日本語で使われています。
ひらがな、カタカナとの違いは単体で意味を持つ「表意文字」であることが挙げられます。
読み方については「音読み」「訓読み」という2つの特徴を持ちます。
同じ漢字でも音が異なるため、違いを見ていきましょう。
漢字の読み方
- 音読み
中国から漢字を取り入れた際に入ってきた読み方。
例) 山 (サン)、水 (スイ)、人 (ジン)、車 (シャ) - 訓読み
日本語独自の発音に漢字を当てた読み方。
例) 山 (やま)、水 (かわ)、人 (ひと)、車 (くるま)
さらに、「雪崩」(なだれ)、「梅雨」(つゆ)など音読み・訓読みのどちらにも当てはまらない独自の読み方をする場合もあります。
現代中国と発音が異なるのは「取り入れた当時の音を使い続けていること(音読み)」ためです。
また、「日本語独自の音を当てている(訓読み)」のも、発音の違いが起きる理由として挙げられます。
身近になったアルファベット(ローマ字)
さらに、国際化やIT化の情勢変化に伴い、アルファベットを活用することも多くなりました。
アルファベットで日本語を書く際は、「ローマ字」という組み合わせを使います。
使われる場面として代表的なのは、パスポートの氏名や駅名表示です。

漢字とひらがなの読みに加えて、ローマ字表記がされています。
また、パソコンで入力する際もローマ字入力を使う人が多いです。
このように、複数の文字が使われていることを「ダイグラフィア」といいます。
ダイグラフィアの特性を持つ世界の言語では、日本語以外だとセルビア語やインドのコンカニ語が挙げられます。
日本語を使う際は、まずひらがな、カタカナ、漢字の3つを覚えなくてはいけません。
覚える文字が多いため、最初に学習で引っかかるポイントだといえるでしょう。
② 動詞(述語)が文章の最後に来る

日本語は動作や状態を表す動詞(述語)が文の最後に来ます。
以下に例文を用意しました。
私は日本文化を学んでいる友人に会うために、来週京都へ行く予定です。
動詞に当てはまる「行く」が文の最後に来ていますね。
これを世界の共通語である英語で表現してみましょう。
I am going to visit Kyoto next week to meet my friend who is studying Japanese culture.
今後は逆に、主語である「I(私)」の直後に「行く(go)」が来ています。
述語が最後に来る言語は日本語以外にも、韓国語やヒンディー語、モンゴル語などがあります。
これらは「SOV言語」と呼ばれ、アジア地域を中心に使われていると言われています。
時に「結論が分かりにくい」という側面も…
このように、日本語のようなSOV言語は、必ず動詞(述語)が最後に来ます。
そのため、結論を最後まで聞かないと内容が分かりにくい場合があります。
長い文章になるほど、結論が分からなくて混乱することも起こりそうです。
そのため、最近ではビジネスの場において「結論」を最初に伝える手法が好まれています。
通常文面の中盤に来る理由や背景を後に続けることで、聞き手が重要な情報を確実に捉えることができます。
先ほどの例文を、あえてビジネス的に言い表してみましょう。
「私は来週京都に行きます。」
「理由は友人に会うためです。」
「その友人は日本文化を学んでいる人です。」
だいぶ結論や背景を分かりやすく捉えられるようになったと感じませんか?
このように、時と場に応じて結論を先に伝えたり、1文を短く伝えていくことも有効です。
③ 複数の敬語を使い分ける必要がある

「敬語」は、日本語で自身より目上の相手に対して使う表現です。
敬語を使う際は、「尊敬語」「謙譲語」「丁寧語」の3つのグループを使い分けます。
(1) 尊敬語
述語にあたる動作をする対象の相手が、目上の方に対して使われる敬語です。
尊敬語の例
- 食べる→「召し上がる」
例文) どうぞ、冷めないうちにお召し上がりください。
(食べようとするのは目上の人) - 来る→「いらっしゃる」「お見えになる」
例文) 山田部長が会議室にお見えになりました。
(会議室に来たのは山田部長=目上の方)
(2) 謙譲語
述語にあたる動作をする対象が、自分の時に使う敬語です。
ここでいう謙譲とは、「自分を下げて相手を立てる」という意味を持ちます。
謙譲語の例
- 食べる→「いただく」
例文) 昼食はすでにいただきました。
(昼食を食べたのは自分) - 行く→「伺う」
例文) 明日は午前10時に、研修の会場に伺う予定です。
(自分が研修の会場に行く予定)
(3) 丁寧語
単語や文章を丁寧にする意味を持つパーツをつけた言葉です。
ただし、一部の単語には丁寧語を使えない場合もあります。
丁寧語の例
- 単語の頭に「お」「ご」をつける
漢字の「御」をつける場合もあります。
例)
お弁当、ごあいさつ、御礼 - 語尾に「です」「ます」をつける
例)
ありがとう→「ありがとうございます」
嬉しい→「嬉しいです」
私たちが書いている記事の文面も「です」「ます」口調なので、これも1つの丁寧語ですね。
最近使われることが多い「クッション言葉」
最近では前置きとして、「クッション言葉」を使うこともあります。
これは相手を気遣い、敬語の雰囲気を柔らかくするために使われるのが特徴です。
また、要望を断ったり迷惑をかける恐れがある際に、相手の気分を害さないように使う場合もあります。
クッション言葉の例
- お手数ですが、今一度お忘れ物がないかご確認ください。
→忘れ物の確認という手間をかけることに対する気遣い - 恐れ入りますが、車内でのおタバコはご遠慮ください。
→喫煙を車内で止めることに対するお願い - あいにくですが、その日は予定があるので参加を見送ります。
→参加したい気持ちがあるが、先約のため断ることへの残念さを表現 - お忙しいところ大変申し訳ございませんが、急ぎご確認をお願いいたします。
→相手に迷惑をかけることへの謝罪を伝える
敬語のマスターは日本人でも難しい

敬語の難しさは、種類の多さだけでなく対象の相手によって使いわけが必要になる点が挙げられます。
例えば尊敬語と謙譲語は、同じ動作でも対象の相手によって使い分けが必要です。
また、丁寧語の「お」「ご」は、つけてはいけない単語があります。
例えば「ビール」など、日本国外が由来の「外来語」はつけてはいけないルールがあります。
この使い分けは日本人でも難しいです。
実際に筆者も、敬語を2つ重ねた「二重敬語」がマナー違反だと先輩に指摘されたことがありました。
また、使いすぎは慇懃無礼な印象を与え、かえって相手に対して失礼になる場合があります。
敬語は相手を敬う姿勢を表明できる大切な日本語です。
しかし、使い方を一歩誤ると相手に失礼な印象を与える場合があります。
複雑ですが、1つずつルールを押さえてマスターしていきましょう。
④ 曖昧で言い切らない表現が多い

よく海外の方に驚かれることとして、「日本人は意思表示が曖昧な時がある」という点が挙げられます。
これは以下の内容が当てはまるのではないかと、筆者は考えます。
言葉だけでなく、相手の表情や周囲の空気で「察する」
いわゆる「暗黙の了解」「以心伝心」「空気を読む」という文化です。
これは相手との関係性や社会において、背景や文脈、共通認識が共有されていることが前提です。
この「察する」コミュニケーションは「ハイコンテクスト」とも呼ばれます。
相手の表情や空気、目配せやジェスチャーで伝えられる「非言語の情報」は、真意を正しく理解することが重要です。
時に「非言語の情報」は口で発せられる言葉と反対の意味を持つ場合もあります。
この場合、口で発せられる言葉は「建前」、表現されない非言語の情報は「本音」と区別します。
言葉で表現されない「本音」を正しく察することは、日本語や日本文化で重要な役割を持っています。
遠回しかつマイルドな表現を使うことが多い
真意をあえて遠回しでマイルドな表現を使う場合があります。
先ほどの「建前」と「本音」に似ている特徴です。
例えば、「お控えください」「ご遠慮願います」という言葉があります。
一見「絶対NGではないけど、できればやめてほしい…。」という感覚に見えるでしょう。
しかし、この言葉には「やめてください」というはっきりとした禁止の意味を持つ用語となります。
また、命の終わりを遠回しに表現する場合もあります。
古来の表現だと「儚くなった」「雲隠れした」という表現が使われています。
現代だと「無言の帰宅」という言葉が使われることが多いです。
日本語の言い方が曖昧になってしまう理由とは?
なぜ、日本語では曖昧な言い回しが多くなるのでしょうか?
これは、「周囲の調和を重んじること」と、「相手に対して不快感を与えない心遣い」が挙げられます。
日本では古来から、「周囲の人間関係の調和」を重んじてきました。
この美徳は、604年に聖徳太子によって制定された憲法十七条でも見て取れます。
「和を以て尊しとなす」(どのような物事でも争いを避けて皆が仲良く取り組むことが尊いことである)という条文は、まさに日本が重んじてきた「調和の文化」を表現しているでしょう。
また、場合によっては要望を言い切り、はっきりと断ることも大切です。
しかし、それによって争いや不和が起こることを当時の日本人は心配していました。
周囲の調和を重んじる姿勢と相手への気遣いが、日本語の曖昧な表現を育んだと考えられます。
曖昧な日本語の表現が誤解を生むことも?
ちなみに近年では、若年層を中心に曖昧で遠回しな表現が読み取れていないという点で議論を呼んだことがあります。
例えば「ご遠慮ください」という用語を、「やめてほしい」という意味ではないと捉えたことが物議を醸していました。
時代が流れるごとに、日本語の意味や使い方が徐々に変化しています。
この話を聞いた筆者は「正しい日本語の意味と扱いを日々問われているのではないか」と感じました。
日本人はどうやって日本語を勉強しているの?
ここまで複雑な特徴を有する日本語ですが、どのように勉強・習得しているか気になる方もいらっしゃるでしょう。
そこで、私たち日本人がどのように日本語を勉強しているかご紹介していきましょう。
① ひらがなやカタカナ、漢字の書き取り
おおむね6歳前後から、ひらがな・カタカナを書き取る練習を始めます。
(家庭や幼稚園・保育園の方針等で個人差がある場合がございます)
筆者は幼稚園の6歳(年長クラス)で、ひらがなを先生から教わりました。
また、小学校に入ると、本格的に国語(日本語)の授業で漢字の読み書きを行います。
文章の読み取り

国内外で有名な文学や説明文(評論)を読み、筆者の意図や考え、ポイントを読み取ります。
特に「登場人物の気持ちを考える」設問は、日本特有の「ハイコンテクスト」なコミュニケーションを読み解くのに重要です。
さらに、授業だけでなく読書を行うことは、読み取る力と語彙を増やすのに有効だといわれています。
発音の練習
小学校の国語の宿題として、詩や文章を声に出して読む「音読」という作業が課されることがあります。
音読は正しい日本語の発音やイントネーションを培えます。
さらに、文章の理解力と表現力を上げる効果が期待されています。
時代によって異なる音読の宿題
ちなみに筆者が小学生の頃は、家族に聞かせた後にサインをもらうことで宿題を実施したことになっていました。
最近ではICT教育が加速し、タブレットに音声録音したデータをクラウド上で提出する仕組みになっているようです。
文章の書き取り
お題に沿って自分の気持ちや考えを書く「作文」の練習もあります。
特に有名なのは、夏休みの宿題として出される「読書感想文」です。
指定された書籍を読んでその感想を文書でまとめる作業は、読む力と書く力両方をつける練習になります。
年代によって変わる文章作成の課題
ちなみに、小学生の時は「作文」として主観的な感想を題材に取り上げることが多いです。
これが中学生〜高校生になると「小論文」に切り替わり、論理的な説明と端的な文章を書く力が求められます。
一部の学校では入学試験に小論文を課す場合もあるため、対処できるようになりたいところでしょう。
表現方法を増やす練習
日本語の表現方法は幅広く、またそこから文学の手法も発展していきました。
俳句、川柳、詩の作成
文学に触れる機会として、ごくたまに俳句や川柳、詩の読み取りや作成を行うことも。
短い言葉で情景や気持ちをまとめる手法は、日本独自の文化を学ぶ側面でも重要な役割を果たしています。
四字熟語やことわざの学習
「以心伝心」といった四字熟語や、「石の上にも三年」といったことわざを学びます。
これらは教訓を分かりやすいように伝えた言葉であることから、紹介する本が図書室に置かれることもあります。
まとめ:
日本語は複雑ながらも、奥深いやり取りの文化を生み出していった

このように、日本語は複雑で覚えることがたくさんある言葉です。
近年では日本でも若年層を中心に「正しい日本語が使えない」「読み書きの能力が低下している」ことが懸念されています。
しかし、日本語の特徴や魅力を知っていくとその奥深さに驚くことが多々あります。
筆者も執筆作業を通して、まだまだ日本語を扱う力を向上させたいと感じました。
この記事を通して、日本語の奥深さや特徴を理解する手助けとなれば嬉しい限りです。
『古都 KOTO』ではこの他にも日本語について記事を解説します。
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