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なぜ日本のお茶は美味しいのか?水・風土・心が育む一杯

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朝、まだ静かな台所でお湯を沸かす音が聞こえると、「今日も一日が始まるな」と思わず背筋が伸びます。

やかんの湯気とともに、ほのかな茶葉の香りが広がる。小さな湯呑みに注がれるその一杯で、気持ちがやさしく整うような気がします。

日本のお茶の美味しさって、一言では説明しきれません。

味も香りも、なにより飲む時間そのものが特別に思えるのは、きっと自分の暮らしに寄り添っているからだと思うのです。

日本のお茶の美味しさはどこから生まれるのか

あらためて「なぜ日本茶はおいしいの?」と聞かれると、ちょっと迷います。

子どものころ、親戚の家に遊びに行ったとき、最初に出てくるのはいつもお茶とお菓子だったな、とか。

駅前の小さな喫茶店で、店主さんが急須でお茶を淹れてくれて、「おかわりどうぞ」と湯呑みを差し出してくれたことも、今も記憶に残っています。

それぞれの地域に茶畑があり、農家さんが葉の一枚一枚をていねいに摘んでいる。

その季節や土地の空気が、そのまま味や香りになっている気がするのです。

京都の宇治や静岡、鹿児島など名産地はたくさんありますが、「うちの近所のお茶も負けてへん」と地元の人はきっと思っているはず。

山から吹き降ろす風、朝の霧、田んぼの水。

そんな当たり前の自然の中でお茶が育つからこそ、素朴で、でも飽きのこないおいしさになるのでしょう。

暮らしに根づく「お茶の種類」

普段の食卓にも、来客用にも、旅先の宿にも、必ずと言っていいほどお茶があります。

急須から立ち上る湯気や、誰かが「お茶にしましょうか」と声をかけてくれるあたたかさ。

日本の暮らしには、いつもどこかにお茶が寄り添っています。

「どのお茶が一番好き?」と聞かれたら、きっと答えに迷うぐらい、たくさんの種類が身近にあります。

スーパーや専門店には、煎茶·玉露·ほうじ茶·玄米茶·抹茶といった定番から、地方色の強いブレンド茶まで実に多彩。


何気ない日常の中で「今日はどのお茶にしようかな」と選ぶ、その小さな楽しみが暮らしをやさしく彩ってくれるように思います。

用途に合わせて選ぶ多彩な緑茶

例えば、朝ごはんには煎茶。パリッとした香りでシャキッと目が覚めます。

午後のゆるい時間は、ほうじ茶や玄米茶の香ばしさが心をほどいてくれる。


特別な日や来客のときは、玉露や抹茶。器も、少しだけ背筋が伸びるものを選んだりして。

それぞれのお茶に、思い出や習慣が紐づいているのが日本らしいところだと思います。

ペットボトルやティーバッグでさっと淹れる人も増えましたが、やっぱり急須で淹れたお茶は格別だと、個人的には思います。

冷めても美味しい、京都のスモーキーなほうじ茶

京都のほうじ茶みたいに、強めに炒った香りが印象的なお茶もあります。

このお茶は、強めに焙じた香ばしさと、ふんわりと鼻に抜けるスモーキーな香りが特徴です。

熱々はもちろん、時間が経って冷めてからもまろやかな甘みが残り、急須に残った最後の一杯まで美味しくいただけます。

食後の口直しや、お茶漬けにしてもその香りが引き立ち、京都の食卓には欠かせない存在です。

日本の水とお茶の相性

お茶と水は切っても切り離せません。

京都でも、近所の井戸水や山から引いた清水でお茶を淹れると、「ああ、この味だな」とホッとします。


日本は軟水が主流で、このやわらかな水が茶葉本来の甘みや香りをストレートに引き出してくれます。

山の湧き水、川の水、昔ながらの井戸水。どこか土地の香りがするのも、日本のお茶の奥深さかもしれません。

季節ごとに味が違うのも面白いところです。

冬はきりっと冴えた味、夏は冷やしてごくごく飲む爽やかさ。茶葉も水も、四季の移ろいを映してくれます。

まとめ

日本のお茶は、自然や人の暮らしとともにある飲み物です。

大げさな道具もいらず、湯呑みと急須、そしてちょっとした心の余裕さえあれば、いつでも楽しめる。


 一杯のお茶が、その日の気分や空気までやわらかくしてくれるのは、日本ならではの文化かもしれません。

京都や地方の小さな茶店に立ち寄ったら、ぜひその土地の水や空気ごと味わってみてください。
きっと、おいしい理由は、口に含んだ瞬間にじんわりと伝わってくるはずです。

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